小説 オッキーマ伝説

-第1話・地球滅亡の危機

-第1章・十勝編・第2節-

現在この十勝地方には、住居用エリアがこのほかに6個建設され、他に農業用、工業用のエリアなどもあります。クロスが行こうとしているエリアは十勝平野の南にあります。この方角に大樹町という町がありました。その西の高台に尾田という地域があります。ここに水産エリアと、5万人が住んでいる居住エリアが建設されていました。大樹町のさらに南には広尾という港町がありましたが、今は海に沈んでしまいました。
ところで先ほどエリアライナーという乗り物をご紹介しましたが、このエリアライナーと呼ばれる乗物も、エリア間を移動するときには、自由に空間を移動することはできませんエリアバイパスと呼ばれるチューブの中を往来する以外方法はないのです。地上には道路と呼べるものはなく、降り注ぐ雨が激流となって流れています。特殊な用途に用いるために開発された車両もあることはあるのですが、市民には不要です。行楽に出かけるなどということは、まったく無意味ですから。
また空は低く垂れ下がった雲の間にすさまじい閃光を放ちながら雷鳴が響き渡っています。空中を飛ぶことができるのは特殊な軍用機だけです。先ほどからご紹介しているように、エリアの外は地獄絵図差ながらの様相を呈しています。普通にエリア内で暮らしているときには、外界の様子を見ようとはしません。好んで地獄絵図など見たがるのは、よほどの変人か、軍や消防関係の調査のときぐらいでしょう。しかし、それでもエリア間の移動の際には車両の窓の外につい目をやってしまいます。そして昔を知るものは「あの時代に考えていれば、こんな景色を目にすることも無かった」と思うのです。
そのとき「おや!対向するエリアライナーかな?」左前方10キロメートルほどのところに隣のチューブをクロスが今来た方向へ進んで来るエリア・ライナーのヘッドライトが目にとまりました。「あのライナーは水産エリアに行ってきたのだな」と思おもいながらその後方に目をやると、エリア・ライナーのそれとは明らかに違う種類の光が、空中をこちらに向かってくるのが見えました。「何だろう?」思うまもなく警報が車内に鳴り響き同時に車内の赤色灯が回り始め、緊急停止のアナウンスが流れました「非常事態発生のため、緊急停止します」。 エリア・ライナーは「防護シールド」に包まれたため、外の様子はまったく見えなくなっています。 。車内の赤色灯が回転しています、外で起きていることを想像する以外に 知る術はありません。「・・・停止してどれほど立ったのだろうか?」クロスは腕の時計に目をやった。「5分以上は経っているはずだ・・・」そう想っているとき警報は鳴り止み、静まり返った車内に女性の声が聞こえました。「何があったのかしら?」といいながら窓の外に目を凝らしていました。「隣のチューブに、何かあったらしい」隣にいた、男性がそう答えました。「そのようですね、でも、もう何も見えませんね」女性がそう言った時、車内のスピーカーから「マモナク、ハッシンシマス、セキニモドリ、アンゼンベルトヲ、ソウチャクシテクダサイ」と、機械のアナウンスが流れました。「ちゃんと説明しろ!さっきの緊急停止は何があったんだ!」男が大声で言いながら、立ち上がりました。それに答えるかのようなタイミングで「私は乗客専務(車掌)です」と、今度は車内のスピーカーから人間の声が流れ始めました。 「ただ今の当車両の緊急停止につきまして、ご説明を申し上げます。当車両のドアーの安全装置に異常があると指令センターからの警告を受けたため、緊急停止いたしまし、て指定箇所をチェックいたしましたが、幸い車両に異常はなく、コンピュータの誤認であることが判明いたしました。只今より、次のエリアステーションまで通常運転を開始します。」と、アナウンスが終了するのと同時にエリアライナーは、ゆっくりと滑り出しました。 先ほど大声を上げた男が紅潮した顔で後方のドアーのほうへ歩いてゆくのが見えました。そのドアーの先に2両ほど行くと車両専務室(車掌室)があります。彼の目的は明白でした。クロスも先ほどの外の光景が気になっていたので、彼の後を付いて行きました。彼はドアーのノブに手をかけようとして立ち止まり、クロスの方を振り返ると「あんたも気になりますか?」男はクロスにそう問いかけてきました。続けて「あの車掌は、何か隠していやがる」男はそう言いながらクロスの顔をしげしげと見つめていました。そして「おう!あんたは、うーんなんていったっけ。」男は私に見覚えがあるらしいかったのですが、思い出せないでいる様子でした。彼は「まぁいい、そんなことは後だ」といって振り向きドアーを開け、中へ進んで行きました。次ぎの車両でも数人の乗客が、後部の車両へ向かって歩いて行くのが見えました。「・・・先ほど車外で起こった何かを見ていたものたちなのだろう・・・」「こんなに大勢で行くのはまずいな」クロスはそう思ました。クロスは様子を見ることにして、傍らの空いている席に腰をおろしました。そうしているうちに、数人の乗客たちが次の車両の中へ消えたのを見て、クロスはドアーの傍の席へ身を移しました。 そのとき突然車内の照明が消えました。非常灯の照明がぼんやりと車内を映し出しています。

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