春の雪

淡雪に恋して-5

1時間ほどたつと、二人は店を出ました。彼女は相当に酔ったようで、足元がふらついています。悠一郎は、肩を抱き寄せ歩調を合わせながら歩き始めました。ネオン街を行き交う人たちの間を縫うように裏通りへ歩いていました。彼女は悠一郎の腰に手を回しすがりつくような目をして悠一郎の顔を見上げながら「どこへゆくの?」悠一郎は「少し休もうか?」と応えました「うん」彼女は悠一郎の腰に回した手に力をこめながら応えました。悠一郎は「何か食べたいものはない?」と聞きました。彼女は悠一郎の顔を見上げて目を潤ませていました。悠一郎には彼女の心が痛いほど解っていました。しかし悠一郎はその気持ちに応える決心がつかないでいます。二人はゆらゆらと舞い落ちる雪の中を、黙って歩き続けました。


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